ゆっくりとした時間の中で、あなたに寄り添う天使です。
待つしかない時期を、いっしょに待ってくれます。
ずっと、そばにいます。
カシエルは、時と忍耐を司る天使です。土星を統べ、土曜日を守ります。
名の意味は「神の願い」と伝えられます。土星の統治者、第七天の支配者、そして孤独と涙の天使。そう呼ばれてきました。
魔術の系統ではカフジエルとも呼ばれ、竜にまたがった、髭のある姿で語られます。ルネサンス期の書物にも土星を治める天使として名が挙げられ、西洋の伝統のなかでは早くから知られていた天使です。
生命の樹では、第三のセフィラ「理解」に結びつけられます。ここは大いなる母の座、閃きを受けとめて形を与える器の座です。受けとめることが、この天使の仕事のすべてだと言ってもよいでしょう。
ミカエルは戦い、ガブリエルは告げ、ラファエルは癒します。
カシエルは、見ています。
天使というと、たいてい何かをしてくれる存在として語られます。使いに立ち、剣を振るい、傷を癒し、道を示す。
カシエルの仕事は、そこにいることです。
ゆっくり過ぎていく時間のなかで、あなたのそばに座っています。最後まで、目を離しません。
待つしかない季節に
変えられないものがあります。過ぎるのを待つしかない季節があります。そういうとき、隣にいて黙っていてくれる存在が、いちばんありがたいものです。
励まされたくない日があります。前を向けと言われたくない日が。カシエルは、そういう日のための天使です。
この天使の徳は、沈黙です
「理解」の座に置かれた徳は、沈黙、自制、節制とされます。黙っていられる力。手を出さずにいられる力。それを徳として置いてきた体系が、この世界にはあります。
誰かの苦しみを前にして、何もできずにただそばにいたことがある方なら、この徳の重さがわかると思います。何もしないことが、いちばん難しいときもあります。
「理解」の座に与えられた霊的な体験を、西洋の伝統は悲しみのまなざしと呼びます。
これは絶望のことではありません。すべては終わる、という静かな理解のことです。生まれたものはいつか滅び、始まったものはいつか終わる。世界がそうできている、と知ること。
日本語には、この感覚をあらわす言葉がすでにあります。無常。そしてもののあはれ。
桜がより美しく感じるのは、散るからです。散らない花は存在しません。終わりがあるからこそ、いまが尊い。カシエルが見ているのは、そういう世界です。
悲しみには、時間が要ります
悲しいことがあると、早く元気にならなければと思います。まわりも、そう望みます。けれど悲しみには、それだけの時間が要ります。短くしようとすると、あとで別の形で出てきます。
カシエルは、悲しんでいる時間を、そのまま悲しませてくれる天使です。この天使のそばでは、泣いていていいのです。
カシエルの持ちものは、どれも時間にかかわるものです。
砂時計
土星のしるしです。落ちる砂は止められません。けれど、まだ上に残っている砂もあります。この天使が見ているのは、その両方です。
鎌
刈り取るための道具。終わらせるための刃ですが、同時に収穫の道具でもあります。実ったものだけが刈られます。
深い闇
「理解」の座の色は、すべての色を含んだ闇とされます。黒は色がないのではなく、すべてを内包するがゆえに見えないのです。
竜
カフジエルの名で呼ばれるとき、竜にまたがった姿で描かれます。乗りこなすのではなく、共に在る。この天使は闘いません。
カシエルを調べていると、ツァフキエルという名がしばしば並んで出てきます。同じ天使とされることも、別の天使とされることもあります。
よく用いられる分け方は、こうです。ツァフキエルは生命の樹の「理解」の座に置かれ、土星のもっとも高く、深いところを司る天使。カシエルは土星と土曜日を治める惑星の天使で、日々の暮らしのなかで働くほうを担う天使。
当サイトでは、七つの曜日と惑星の並びに沿って、土曜を守る天使としてカシエルの名でお伝えしています。カフジエル、ツァフキエルの名で書かれた資料に出会っても、同じ土星の光を指しているとお考えください。
カシエルは、どうにもならない時期のための天使です。
名を三度呼んでから、静かに伝えます。この天使には、いま起きていることをそのまま話してください。
待たなければならないときに
ひとりでいる夜に
長く続ける覚悟をするときに
伝えたあとは、手放します。
終わりに「ありがとうございました」とひとこと添えると、心がきれいに閉じます。
この天使への答えは、あとで振り返ったときの形をしています。
この天使のしるしは、静かで、地味です。
時計が目に入る
同じ時刻ばかり見てしまう。古い時計に行き当たる。時のしるしは、この天使のものです。
急に静けさが降りる
騒がしい場所にいるのに、ふっと音が遠のく瞬間があります。この天使が通ったあとです。
古いものに惹かれる
石、木、古道具。長い時間を過ごしてきたものに手が伸びるとき、土星の側に呼ばれています。
黒い鳥を見る
烏、黒い鳥。土星に属する生きものとされます。見ているという合図です。
諦めがついて、楽になる
どうにもならないと分かった瞬間、かえって肩の力が抜けることがあります。受けとめが終わったしるしです。
夜が長く感じる
眠れない夜が続くとき。そのままゆだねてください。この天使は、眠れない人のそばにいる天使です。
カシエルは土星を司ります。金属は鉛、色は黒と藍と深い灰。いずれも、重いもの、動かないもの、時間をかけてしか変わらないものに結びついています。
土曜に
一週間の終わりの日です。この日は、減らす日にしてください。物をひとつ手放す、予定をひとつ断る、続けるべきか迷っていることをひとつやめる。増やす日ではありません。
黒い蝋燭を、静かに
カシエルと呼吸を合わせたいときは、黒か濃紺の蝋燭を一本灯します。ただ火を見ています。土星の天使は、言葉より、黙って過ごす時間のほうが届くことがあります。
重いものを、手に持つ
土星の金属は鉛です。手に入りにくければ、何か重くて冷たいものでかまいません。石、鉄、古い道具。重さは、心を地面に近づけます。気持ちが宙に浮いて落ち着かない日に、試してみてください。
山羊座・水瓶座に生まれた方へ
この二つの星座は土星に守られており、カシエルと縁が深いと伝えられています。人より時間がかかることを引き受けて生まれた方たちです。若いうちは損に見えて、後半で効いてくる。急ぐ人たちのなかで疲れた日に、この天使の名を呼んでみてください。
カシエルが立つのは、ビナー。
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カシエルに寄り添う石と香りです。手元にあるものから、ひとつ選んでみてください。
石
オニキス
古い書物でカシエルの石とされてきた黒石。長い戦いの時期に持ちます。握ると重く、冷たく、そのことがそのまま支えになります。
長い時期のお守りにオブシディアン
火山が急に冷えて生まれたガラス質の石。見たくないものを見せる石とされます。強い石なので、元気な日に持つように。整理をつける覚悟のある日に。
覚悟のある日にジェット
流木が長い年月をかけて石になったもの。軽く、あたたかい黒石です。喪のときに身につけられてきた歴史があります。悲しみのそばにいる石です。
悲しみのときにヘマタイト
鏡のような光沢を持つ、ずっしり重い鉄の石。気持ちが宙に浮いているとき、地面に足を戻してくれます。手の中で温めてください。
落ち着かない日に握るスモーキークォーツ
煙をふくんだ水晶。黒石のなかではやわらかく、疲れている日でも重く感じません。眠れない夜、枕元に置いてください。
眠れない夜の枕元にハーブと香り
マレイン
背の高い穂を立てる、ビロードのような葉の草。乾いた茎に蝋を含ませて灯芯とした歴史から、暗いところを照らす草とされてきました。乾かした葉を小さな束にして、部屋の隅に置いてください。
乾かして部屋の隅にコンフリー
土星の草とされます。深く根を張り、痩せた土を肥やす植物で、庭にあるとよい草です。育てる草、外から使う草としてお付き合いください。※現在は飲用が避けられている植物です。
庭で育てるサイプレス
墓地に植えられてきた、まっすぐな糸杉。別れの木です。何かが終わった時期、部屋に香らせてください。冷たく澄んだ、締まりのある香りです。※ホルモンに働く精油です。妊娠中・授乳中の方や、お体がデリケートな時期はお控えください。
何かが終わった時期にミルラ(没薬)
古くから葬送と祈りの両方に使われてきた樹脂。苦みのある深い香りです。静かに座る時間のあいだ、ひと粒だけ焚いてください。
静かな時間のお供にパチュリ
土そのもののような、湿った深い香り。地に足をつける香りとされます。考えすぎて眠れない夜に、ほんの少し。※強い香りなので、量は控えめに。女性ホルモンに働きかける精油です。妊娠中・授乳中の方や、お体がデリケートな時期・女性特有のお悩みをお持ちの方はお控えください。
考えすぎる夜に少量体調や持病のことでお使いに迷われたら、専門の方にご相談のうえお楽しみください。
祈っても何も起きません。
この天使は、状況を変えません。変えないことが役目です。起きるのは、待っていられるようになる、という変化のほうです。数か月たって振り返ったとき、あの時期をよく持ちこたえたと思えることがあります。それがこの天使の働きです。
孤独と涙の天使という呼び名がこわいです。
孤独のなかにいる人のそばにいる天使です。涙も同じで、泣いているあいだ席を立たずにいてくれます。
結果が出ないまま、続けている時期があると思います。
待つしか術がないことも。
そんな夜、カシエルは隣にいます。
朝まで、あなたに寄り添います。