薔薇の天使、と呼ばれています。
力ずくで勝つのではなく、
咲いていることで人を惹きつける天使です。
ハニエルは、美と愛と直感を司る天使です。名は「神の恵み」「神の喜び」という意味を持ちます。
名の由来となったヘブライ語には、恵み、favour、そして愛らしさという意味があります。もうひとつの由来とされる語は、喜び、楽しみをあらわします。この天使の名前そのものが、うれしいという感情でできています。
アナエル、アニエル、ハナエル、オノエルとも呼ばれます。生命の樹では第七のセフィラ「勝利」を司り、金星と金曜日を守ります。そして天上での称号を、薔薇の天使といいます。
古い書物には、その姿がこう記されています。白い翼を持ち、白い薔薇の描かれた桃色の衣をまとう天使。微笑んでいる、あるいは笑っている姿で描かれ、女性の姿をとることが多いとされます。手には薔薇か、ランタンを携えています。
ミカエルが剣で退け、カマエルが火で立ち向かうなら、
ハニエルは、咲いていることで人を招きます。
同じ「勝利」でも、勝ち方が違うのです。
ハニエルの持ちものは、どれも「引き寄せるもの」です。
薔薇
この天使の象徴です。薔薇はただ咲いて、香ります。それだけで蜂も人も引き寄せられます。棘があることも含めて、この天使の性質です。
ランタン
日が落ちて最初に灯る明かり。金星は、太陽と月を除けば空でいちばん明るい星です。まだ暗くなりきらないうちから、そこにいる光です。
松かさの杖
先端に松かさをつけ、色とりどりのリボンで飾られた杖を携える姿でも伝えられます。生命と実りのしるしで、古い豊穣の祭りに使われてきた形です。
月光の色の光
青みを帯びた白、あるいはターコイズ。輪郭をやわらかくする光です。この光の下では、粗も傷も、そのまま美しく見えます。
ハニエルを調べていると、金星の天使と書かれていたり、月の天使と書かれていたりします。
古くからの伝えでは、金星です
生命の樹の第七のセフィラ、金曜日、金属は銅。西洋の伝統では、ハニエルはまず金星の天使です。当サイトも、七つの曜日と惑星の並びに沿って、この立場でお伝えしています。
近年は、月の天使としても語られます
とくに日本では、月の天使としてのハニエルが広く知られています。月光のような光をまとい、満ち欠けとともに働く天使として。こちらも正しく伝えられてきた姿です。
そもそも、近しい二つの光なのです
金星は、望遠鏡で見ると月と同じように満ち欠けします。三日月の形にも、まるくもなります。そして地球から見た金星が、明けの明星から宵の明星へ移り変わる周期は、月の巡りとよく似た長さを持ちます。
古代の人々にとって、月と金星は、夜空でいちばん近しい二つの光でした。どちらの伝えも、同じものを別の名で呼んでいるのだと受け取ってよいと思います。
ハニエルが司るネツァクは、日本語で「勝利」と訳されます。愛と美の天使に勝利という言葉は、少し不釣り合いに思われるかもしれません。
ここでいう勝利は、持ちこたえること、続くこと。それがこの座の勝ち方です。
力でねじ伏せるのは、隣のゲブラーの領分です。ネツァクの力は惹きつけることにあります。押すのではなく、引く。追うのではなく、咲いている。薔薇が象徴なのは、そのためです。
徳は無私、悪徳は利己
この座に置かれた徳は無私、悪徳は利己とされます。慈悲の座で慈悲が独善に裏返るように、ここでは愛が独占に裏返ります。相手の喜びを願う気持ちと、相手を自分のものにしたい気持ちは、同じ根から出ています。
ハニエルの仕事は、この二つを分けることです。愛しているつもりで縛っていないか。よくしてあげているつもりで、見返りを数えていないか。そこを静かに照らします。
美の天使、と聞いて身構える方がいると思います。美しくあらねばならないと言われることに、うんざりしてこられた方も多いはずです。
ハニエルの言う美は、それとは別のものです。
整えることではなく、気づくこと
この天使が司るのは、美しさを見つける力のほうです。夕方の空の色に足が止まる。誰かの手の動きにはっとする。何気ない一日を、悪くなかったと思える。その感じ取る力が、ネツァクの領分です。
世界を美しいと思える人は、その分だけ豊かに生きています。見る側の力なのです。
比べる物差しは、この天使のものではありません
誰かより美しい、誰かに劣る。そういう物差しはネツァクにはありません。薔薇が隣の薔薇と自分を比べないのと同じです。咲き方がそれぞれ違うことを、この天使は当たり前だと思っています。
喜びは、美しさの母です
名前が「喜び」からできている天使です。心からうれしいと思えることをひとつ持っているほうが、この天使には近くなります。楽しんでいる人には、そのことがそのまま表れます。
ハニエルは、巡るものの天使です。ひとつの願いが形になるまでにかかる期間を、古い書物は二十八日としています。月がひと巡りする長さです。
この天使は、女性のからだのリズムに寄り添うとも伝えられてきました。月の満ち欠けと同じ長さで巡るものを、内側に持っている方たちです。
調子には、波があります
できる日と、できない日がある。同じ人なのに、月によって別人のように感じる。それを直そうとしてきた方は多いと思います。
けれど、月が満ちてばかりいないのと同じことです。欠けていく時期は、休むためにあります。ハニエルが教えるのは、波に合わせて暮らす方法のほうです。
自分の周期を、書いておく
手帳の隅に、その日の調子をひとことだけ書いておく。二か月も続けると、自分の波が見えてきます。次に沈むときが予想できるようになると、沈むことがこわくなくなります。
ハニエルは、感じる力が鈍っているときの天使です。
名を三度呼んでから、静かに伝えます。この天使には、うれしかったことを添えると届きやすくなります。
自分を受け入れたいときに
直感を取り戻したいときに
愛と独占を分けたいときに
伝えたあとは、手放します。
終わりに「ありがとうございました」とひとこと添えると、心がきれいに閉じます。
ハニエルにもっとも近づけるのは、月の光の下だと伝えられています。満月の夜、月が見える場所で行ってください。窓辺でもかまいません。曇っていても、雲の上に月はあります。
うれしかったことを先に数えるのは、順番として大事なところです。
満ちているところから話しはじめると、満ちているほうが濃くなります。
新月の夜に行ってもかまいません。満月は受け取る夜、新月は種をまく夜です。
この天使のしるしは、やわらかく、うれしいものです。
薔薇に出会う
薔薇の花、薔薇の絵、薔薇の香り。その日ばかり薔薇に行き当たるときは、この天使が来ています。
月が目に入る
探していないのに月を見上げてしまう。ふと窓の外を見たらそこにいた。呼ばれています。
宵の明星が見える
日が落ちたばかりの空に、ひとつだけ光る星。あれが金星です。この天使のランタンです。
胸のあたりがふわりとする
みぞおちのあたりに、蝶が入ったような感覚が起きることがあります。ハニエルが近づいたときの感じです。
急に何か作りたくなる
絵を描きたい、模様替えをしたい、花を活けたい。理由もなく手が動きたがるとき、この天使が背中にいます。
猫が寄ってくる
猫はこの天使と近しい生きものとされます。ふだん寄ってこない子が来る日は、しるしとして受け取ってください。
ハニエルは金星を司ります。金属は銅、数は七。色は桃色、緑、そして銅の色。いずれも、あたためるもの、なじむもの、時間とともに味の出るものに結びついています。
金曜の夕に
一週間の終わりに向かう日です。この日は、うれしいことをひとつだけ自分に許してください。よい紅茶、切り花を一本、いつもより長い風呂。喜びを補給する日だと思ってください。
薔薇色の蝋燭を、西に
ハニエルと呼吸を合わせたいときは、桃色か緑の蝋燭を一本灯します。方角は西、日の沈むほうです。金星は夕空の星なので、暮れていく時間がこの天使の時間です。
銅を身につける
金星の金属は銅です。銅の指輪や腕輪は、古くから金星の力を身につけるものとされてきました。使ううちに色が変わり、艶が出ます。時間をかけて美しくなるものが、この天使にはふさわしいのです。
牡牛座・天秤座に生まれた方へ
この二つの星座は金星に守られており、ハニエルと縁が深いと伝えられています。美しいものを見分ける目と、人を和ませる力を持って生まれた方たちです。人に合わせすぎて自分を見失いそうな日に、この天使の名を呼んでみてください。
ハニエルが立つのは、ネツァク。
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ハニエルに寄り添う石と香りです。手元にあるものから、ひとつ選んでみてください。
石
ローズクォーツ
薔薇の名を持つ桃色の石。ハニエルにもっとも近いとされます。眠るとき枕元へ、あるいは胸の上に。強く日に当てると色が抜けるので、休ませるときは日陰で。
枕元か胸の上にムーンストーン
月の光を含んだ石。周期の波が激しい時期に持ってください。満月の夜、窓辺に置いてひと晩休ませると気配が戻ります。
満月の夜に月光浴エメラルド
金星の石とされてきた深い緑。古い書物ではハニエルの宝石に数えられます。大切な人と会う日に身につけると、言葉がやわらかくなります。
大切な人と会う日にターコイズ
この天使の光の色とされる青緑。感情が波立った日、手のひらで包んでいると落ち着きます。油や汗に弱いので、身につけたあとは乾いた布で拭いてください。
感情の波の日に / 乾拭きで手入れアンジェライト
やわらかい水色の石。名前のとおり、天使とのつながりを助けるとされます。祈りのときにそばへ。水に弱いので、乾いたまま、そっと扱ってください。
祈りのときそばにハーブと香り
ダマスクローズ
薔薇の天使に捧げるなら、まずこの花です。香りの深さは他に代えがたく、心が硬くなった日にひと嗅ぎするだけで表情が変わります。花びらを乾かしてお茶にしても、蒸留した水を肌にのせても。
この天使の第一の花ローズ(精油)
一滴で足ります。満月の祈りの前に手首へ。あるいは薄めて部屋に。自分を責めてしまう夜に、いちばんよく効く香りです。※女性ホルモンや子宮に働きかける成分を含むため、妊娠中の方や、女性特有のお悩みをお持ちの方はお控えください。
祈りの前に一滴レディースマントル
葉に露をためる姿から、古くから女性の草とされてきました。金星の植物です。周期に寄り添う草として、お茶にして飲まれてきました。
周期に寄り添う草イランイラン
濃く甘い、南の花の香り。ためらいをほどく香りです。※香りが強いので、まず一滴から。
ごく少量でネロリ
橙の花から採られる、澄んだ甘さの香り。不安で胸がざわつく日に。ローズより軽く、朝でも使えます。
不安な朝にバニラ
古くから金星の香りとされてきました。安心と結びつく甘さです。人に会うのが億劫な日、部屋にほんのり漂わせておくと気持ちがゆるみます。
人に会う気力がない日に体調や持病のことでお使いに迷われたら、専門の方にご相談のうえお楽しみください。
恋を叶えてほしいと祈ってもいいですか。
祈ってください。ハニエルは恋の領分にいちばん近い天使です。特定の人の気持ちを動かすかわりに、あなたが咲いていられるように整えるほうを引き受けてくれます。満月の夜、薔薇を一輪そばに置いて呼びかけてみてください。
誰かと比べて、自分を小さく思う日があると思います。
薔薇は隣の薔薇と自分を比べたりしません。
名を呼んでみてください。あなたらしい咲き方を、
思い出させてくれるでしょう。