白百合を抱いて、しずかに戸口に立つ天使。
あなたの中でまだ言葉になっていないものを、
形にして届けてくれます。
ガブリエルは、天から地へ言葉を運ぶ天使です。名は「神は我が力」という意味を持ちます。
この天使の名は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教のいずれにも登場します。ひとりの天使がこれほど広く語り継がれているのは、めずらしいことです。それだけ、この世界に言葉を届ける役目が重かったということでしょう。
預言者ダニエルの前に立ったときは、彼が見た不思議な夢の意味を解き明かしました。ナザレの村では、まだ若いマリアのもとを訪ね、あなたは神の子を宿すと告げました。そして砂漠では、ムハンマドに神の言葉を一句ずつ書き取らせました。夢を解くこと、命の訪れを告げること、聖なる言葉を筆に移すこと。どれも、目に見えないものを目に見える形にする仕事です。
ガブリエルはしばしば女性の姿で描かれます。古い文献に、この天使は神の玉座の左に立つと記されているためです。当時のならわしで、主人の左は女性の座でした。マリアのもとへ遣わされたのも女性だったからだ、という受け取り方もあります。男とも女とも定めきれない、そのやわらかさこそがガブリエルの気配です。
ミカエルが剣で道をひらく天使なら、
ガブリエルは、ひとことで世界を変える天使です。
ガブリエルの絵には、いつも決まったものが添えられています。それぞれに意味があります。手にしているものを見れば、その天使が何をしに来たのかがわかります。
白百合
純潔をあらわし、聖母マリアに結びつく花です。まだ何も書かれていない、けれど確かに何かが始まろうとしている状態。それが白百合の意味です。
ラッパ
天からの知らせを告げ、人に気づきをうながす音です。眠っている人を、そっと起こすためのものです。
水
すべての命の源であり、生きる力そのもの。ガブリエルが水のエレメントを司るのは、言葉もまた、流れて誰かに届くものだからです。
杖
進むべき方向を指し示すもの。ガブリエルは行き先を告げ、決めるのはいつも、告げられた人のほうです。
ガブリエルは、あなたと誰かのあいだにあるものを扱う天使です。言えないでいること、届いていないこと、まだ形になっていないこと。そのすべてが、この天使の領分です。
名を三度呼んでから、静かに伝えます。声に出しても、心の中でもかまいません。整った言葉でなくて大丈夫です。
言葉が出てこないときに
新しい命を願うときに
つくるものがあるときに
伝えたあとは、手放します。祈りは届いています。
終わりに「ありがとうございました」とひとこと添えると、心がきれいに閉じます。
ガブリエルはいつも、あなたが気づける形でしるしを置いていきます。
白い羽
思いがけない場所で見つける小さな羽。ガブリエルの場合はとくに、白く清らかなものが多いと言われます。
月と銀のモチーフ
月の写真、銀色のもの、真珠。その日ばかり目に入るときは、月の天使が近くにいます。
百合の香り
花のない部屋に、ふと白い花の香りが満ちることがあります。ガブリエルが通ったあとの名残です。
言葉がひとりでに湧く
考えていないのに文章が流れ出す。言おうと思っていなかった言葉が口から出て、それが正しかった。伝達の天使の働きです。
赤ちゃんの夢
身に覚えのない赤ん坊が夢に出てくる。新しく始まろうとしているものが、あなたの中にあります。
思い出した人からの連絡
今日ふと浮かんだ人から、その日のうちに連絡が来る。ガブリエルは、人と人のあいだをつなぎ直します。
ガブリエルは月を司り、水のエレメントに属します。方角は西、季節は秋、曜日は月曜。いずれも、満ちて欠けるもの、流れて形を変えるものに結びついています。
月曜の朝に
一週間の最初の日は、ガブリエルの日です。まだ何も始まっていない朝に、今週伝えたいことをひとつだけ心に置いてみてください。言葉にできなくてかまいません。輪郭のないままで大丈夫です。ガブリエルは、まだ形になっていないものを扱う天使です。
西向きの窓辺に、水を
ガブリエルと呼吸を合わせたいときは、西の方角を向いて座ります。西向きの窓辺に、透明な器に入れた水を置くとよいと伝えられています。翌朝その水を植物にあげてください。夜のあいだ受け取ったものが、そのまま緑に渡ります。
新月と、満月と
月の満ち欠けは、ガブリエルの呼吸です。新月には、まだ誰にも話していない願いを紙に書く。満月には、伝え終えたことへの感謝を書く。書いたものは読み返さなくてかまいません。書くという行為そのものが、この天使への祈りになります。
水の星座に生まれた方へ
魚座、蟹座、蠍座。この三つの星座は、古くからガブリエルの守護のもとにあると伝えられてきました。感じすぎてしまう日、人の感情を拾いすぎてしまう夜に、この天使の名を呼んでみてください。
ガブリエルが立つのは、イェソド。
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ガブリエルに寄り添う石と香りです。手元にあるものから、ひとつ選んでみてください。
石
ムーンストーン
月の光をそのまま閉じ込めたような石。祈るあいだ、左手に握ってください。受け取る側の手です。新月の夜に窓辺へ置いて、ひと晩月の下に休ませると気配が戻ります。
左手に握る / 新月の夜に月光浴セレナイト
白く縦に筋の入った、やわらかい石。自らを浄める力が強く、他の石を休ませる台にもなります。枕元に立てておくと、夢が澄みます。水に弱いので、乾いた布で拭いてお手入れを。
枕元に立てる / 乾拭きでパール
海が長い時間をかけて育てた、生きものから生まれた石。伝える日、話す日に身につけます。首もとに置くと、喉のあたりがゆるみます。
話す日に首もとへアクアマリン
淡い水色の石。言葉に詰まるとき、誤解を解きたいときに手のひらで温めます。書きものをする机に置いておくと、文章の流れがなめらかになります。
机に置く / 話す前に手で温めるハーブと香り
ジャスミン
夜に咲き、夜に香る花。ガブリエルにもっとも近い香りです。眠る前にひと雫だけ枕に落とすと、夢を通して届くものがあります。ほんの少しで、じゅうぶん香ります。※肌への直接塗布は避けましょう。
就寝前 / 一滴だけホワイトセージ
場を白紙に戻す香り。話し合いの前、来客のあと、気持ちがざわついた部屋に。焚いたら窓を開けて、煙といっしょに空気を入れ替えてください。
話し合いの前 / 窓を開けてローズ
やわらかく伝えたいときに。厳しいことを言わなければならない日、その前に手首へ一滴。言葉の角がとれます。※女性ホルモンや子宮に働きかける成分を含むため、妊娠中の方や、女性特有のお悩みをお持ちの方はお控えください。
伝えにくいことを言う日にミルラ
古くから聖なる場を整えるために使われてきた樹脂。祈りの時間をきちんと区切りたいときに焚きます。始まりと終わりが、はっきりします。
祈りの前後に体調や持病のことでお使いに迷われたら、専門の方にご相談のうえお楽しみください。
ガブリエルは男性ですか、女性ですか。
古い文献では神の玉座の左に立つとされ、当時のならわしで主人の左は女性の座でした。そこから、女性の姿で受け取られてきました。絵画でも中性的に描かれます。あなたの前に現れるときの姿が、あなたにとってのガブリエルです。
妊娠を願っています。どのように祈ればよいですか。
新月の夜がよいと言われます。西向きの窓辺に水を置き、ムーンストーンを左手に握って、上の祈りの言葉を唱えてください。焦る気持ちが出てきたら、それも正直に伝えて大丈夫です。天使は取り繕った言葉より、ほんとうの言葉を受け取ります。
夢に出てきた気がします。どう受け取ればよいでしょう。
ガブリエルは夢を解く天使です。目が覚めたらすぐ、覚えている断片を書き留めてください。意味がわからなくてかまいません。数日後、あるいは数か月後に、その一行が何を告げていたかがわかる日が来ます。
伝えられないまま抱えているものが、あなたにもあると思います。
その重さを、ガブリエルは知っています。
名を呼んでみてください。そして、この天使に話してみましょう。