森にも、庭にも、この天使はいます。
言葉を持たないものたちの側に立ち、
あなたにも、その静けさを分けてくれます。
アリエルは、自然と動物を守る天使です。名は「神の獅子」、あるいは「神の雌獅子」を意味します。
獅子の名を持ちながら、この天使の気配はやわらかいと伝えられてきました。ちぐはぐに思えるかもしれません。けれど、弱いものを守る者がやさしいだけであったことはありません。守るというのは、間に立つということだからです。
風を司る天使とされ、水の精たちの長ともされます。木や花や生きものの、目に見えないほうの住人たち。この天使は、そちら側の世界をまとめています。
もうひとつの名の意味
ヘブライ語のアリエルには、もうひとつ意味があります。祭壇の炉。神殿で、火が絶やされることなく燃やされていた場所のことです。
イザヤ書では、この名がエルサレムを指す詩的な呼び名として使われています。獅子と、火の絶えない炉。二つの意味が同じ名に収まっているのは、偶然ではないように思います。生きものを守る天使が、同時に、消えない火を預かっている。この天使に呼びかけると力が湧くと言われるのは、そのためでしょう。
物質の世界を回す位階
アリエルは力天使の長に数えられます。力天使は、目に見える世界の運行を受け持つ位階です。太陽も月も星も、季節がめぐることも、この階の天使たちが担っています。
つまりアリエルの仕事は、特別な奇跡ではありません。花が咲くこと、雨が降ること、動物が子を産むこと。当たり前に起きていることのほうを守っています。当たり前が続くというのは、実際にはたいへんなことです。
シェイクスピアのエアリエル
『テンペスト』に、エアリエルという精霊が出てきます。木に閉じ込められていたところを助け出され、風と嵐を操って主人に仕える存在です。
当時の聖書の注には、イザヤ書のアリエルに「神の獅子」という説明が添えられていました。劇作家がその名を知っていた可能性は高いと言われます。風を操る精霊としてのアリエルは、こうして舞台の上にも残りました。
サンダルフォンは、地面に足をつけて祈りを運ぶ天使。
アリエルは、その地面に生えているものたちの側に立つ天使です。
アリエルの絵には、天上のものがあまり描かれません。地上にあるもの、外にあるものばかりです。
獅子
名前そのもののしるしです。そばに寄り添って描かれることも、この天使自身が獅子の目をしていることもあります。守るものを持っている者の目です。
風
風を司る天使とされます。触れないのに動かせるもの。姿を見せずに働くこの天使に、いちばん似ているものです。
水
川、泉、海。水の精たちの長ともされます。流れている水のそばは、この天使の気配がいちばん濃い場所です。
絶えない火
祭壇の炉という名の意味から来ています。燃やすための火ではなく、消さずに保つための火。世話を続ける人の胸にある火です。
色は、獅子のたてがみの金と、若葉の緑。淡い桃色として見えるとも伝えられています。どれも自然のなかにそのままある色です。
アリエルは、言葉を持たないもののそばにいる天使です。そして、言葉を持っていても言えない人のそばにも来ます。
名を三度呼んでから、静かに伝えます。この天使には、できれば外で、風のあるところで話しかけてください。窓を開けるだけでも変わります。
力が要るときに
守るために言わなければならないときに
人の言葉に疲れた日に
伝えたあとは、手放します。この天使の返事は、たいてい生きものの姿で来ます。鳥、蝶、猫、風。そのとき目の前に現れたものが、返事です。
終わりに「ありがとうございました」とひとこと添えると、心がきれいに閉じます。
アリエルは、自然界の目に見えないほうの住人たちをまとめているとされます。木の精、水の精、花のそばにいるもの。呼び方は土地によって違いますが、どこの土地にも同じものがいます。
庭に、一角をつくる
住人たちを迎えたいときは、庭の隅にひとつだけ、手を入れない場所をつくります。草を抜かず、刈らず、そのままにしておく一角です。大きさは畳一枚ぶんもあれば十分。鉢植えしかない方は、鉢をひとつ、そのままにしておいてください。
水を置くと、なおよいでしょう。浅い器に、雨水でも水道水でもかまいません。飲むためではなく、光るものがそこにあるためです。腐らないよう、時々取り替えてください。
動物のための祈り
アリエルにいちばん近いのが、この祈りです。名前がある子は名前で呼び、名前がない子は姿を思い浮かべて伝えます。
言葉が出ないときは、手を置くだけでかまいません。この天使は、人の言葉を必要としていません。もともと言葉を持たないものたちの世話をしている天使です。
見送るとき
助からないと分かったときも、この天使は離れません。連れて行かれる道を守るのは別の天使ですが、そこまでのあいだ、そばにいるのはアリエルです。
野生の生きものに出会って、助けられるかどうか分からないときも、呼びかけて大丈夫です。手が届かないことのほうが多いものです。それでも、見ていた人がいたということが、その子の側に残ります。
この天使のしるしは、生きものと天気の形で来ます。屋内より、外にいるときのほうがよく分かります。
獅子の姿が目につく
絵、彫像、模様、映像。その日に限って何度もライオンを見かけるときは、名前で知らせに来ています。
動物が近づいてくる
逃げるはずの鳥が動かない、よその猫がついてくる。生きものの側から寄ってきたなら、そばにいます。
風が急に吹く
祈り終えた直後や、決めかねている最中に、ふっと風が通る。風を司る天使の、いちばん多い返事です。
植物が急に元気になる
諦めていた鉢が芽を出す、季節外れに花が咲く。世話をしている人のところへ、この形で来ます。
蝶やとんぼが留まる
羽のあるものが、手や肩に留まる。短いあいだでも、あれは寄ってきたのであって、たまたまではありません。
外に出たくなる
理由もなく、急に外の空気を吸いたくなる。呼ばれています。行ってみると、そこに何かあります。
アリエルは、曜日を持ちません。生命の樹のどの座にも置かれていない天使です。惑星の輪の外、樹の外にいて、そのかわり外の世界そのものに広がっています。
曜日を持たない天使
曜日を守るのは、ミカエルからカシエルまでの七大天使です。アリエルはその輪に入っていません。ですから、いつ呼びかけてもよい天使です。強いて選ぶなら、天気のよい日の昼。夜より、明るいうちのほうが通ります。
室内には、あまりいない
これははっきり書いておきます。この天使は、屋内より外にいます。祈るなら、外へ出てください。庭でも、公園でも、ベランダでもかまいません。どうしても出られないときは、窓を開けて、風が入るようにします。
水の流れているところ、風の通るところ、木の下。この三つのどれかにいるとき、いちばん近くなります。
ささやき声で
アリエルへの祈りは、大きな声で唱えるものではないと伝えられています。ささやくくらいでよいのです。自然のなかにいるものたちは、みな小さな音で交わしています。こちらもそれに合わせるということです。
獅子の名を借りる
力が要る日には、名前のほうを使ってください。目を閉じて、自分の背中側に大きな獅子が座っているところを思い浮かべます。守ってもらうのではなく、その落ち着きを分けてもらうために。獅子は、吠える前に、たいていじっとしています。
アリエルは、曜日にも生命の樹の座にも属さない天使です。
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アリエルに寄り添う石と香りです。手元にあるものから、ひとつ選んでみてください。
石
ローズクォーツ
アリエルにもっとも近いとされる石です。動物のそばに置くのに向いていて、寝床の近くへ。日に長く当てると色が抜けるので、置き場所は明るすぎないところに。
動物の寝床のそばにセラフィナイト
深い緑の地に、羽根のような銀の模様が入った石。名前も見た目も天使に結びつけられてきました。庭仕事の前に握って、今日世話をする植物のことを思い浮かべてください。柔らかい石なので、ポケットで鍵と一緒にしないように。
庭仕事の前に / 傷つきやすいユナカイト
緑と桃色がまだらに混ざった石。二つの色が分かれずに同居しているところが、この天使らしい石です。強さとやさしさを両方使う日に、鞄へ。丈夫なので持ち歩きに向いています。
強さとやさしさが要る日にグリーンアベンチュリン
きらきらした粒を含む、若葉色の石。新しいことを始める日のための石とされます。手に入りやすく、値も張りません。土に埋めても傷まないので、鉢のなかへ入れておく使い方もできます。
始める日に / 鉢に埋めてもハーブと香り
モミ(ファー)
森のなかにいるときの、あの空気の香りです。外に出られない日に、部屋を森にするために使います。ディフューザーで薄く。※酸化しやすいので、開封後は早めに使い切りましょう。
外に出られない日に / 古いものは使わないイランイラン
濃く甘い花の香り。縮こまった気持ちをひらきます。ほかの香りと混ぜると、ちょうどよくなります。※香りが強いので、まず一滴から。
必ず一滴からジャスミン
夜に香る花です。自信を取り戻したい時期に、少量を。※肌への直接塗布は避けましょう。
自信が要る時期にサイプレス
まっすぐ伸びる糸杉の香り。終わったことを見送る香りとされ、大切な生きものを見送った時期に向いています。すっとした香りで、泣いたあとの頭を静かにします。※ホルモンに働く精油です。妊娠中・授乳中の方や、お体がデリケートな時期はお控えください。
見送ったあとに体調や持病のことでお使いに迷われたら、専門の方にご相談のうえお楽しみください。
妖精や自然の精霊は、本当にいるのでしょうか。
古い土地ほど、その話が残っています。呼び方は土地ごとに違いますが、木のそばに何かがいる、水のそばに何かがいるという感じ方は、世界のどこの土地にも伝わってきました。庭の隅にひとつ、手を入れない場所をつくってみてください。分かるときは、そちらから分かります。
なにかのために、ずっと尽くしてきたかもしれません。
その行いを、アリエルは知っています。
祈りのときは、外に出て名を呼んでみてください。
風が答えを運んでくるでしょう。