失くしたものを、見つけてくれる天使。
鍵も、指輪も、人とのつながりも。
そして、自分がどこへ置いてきたのかも。
シャムエルは、愛と平和を司り、失われたものを見つける天使です。
名の意味は「神を見る者」、あるいは「神を求める者」。求めるという読みがあるところが、この天使らしいと思います。すでに持っている者ではなく、探している者の名です。
もうひとつ、ヘブライ語の「慰める、いたわる」という語から来たという説も伝わっています。見ることと、慰めること。この二つが同じ名に入っているのが、シャムエルという天使です。よく見てくれる人は、たいてい慰め方も知っています。
天の窓辺に立つ
古い伝承のなかで、この天使は天の窓辺に立っています。そこで人の祈りを聞き、上の天の君たちへ取り次ぐ役目を負っている、と。
門ではなく、窓です。閉ざしたり開いたりする場所ではなく、外を見るための場所。誰かがこちらを見ていると分かるだけで、人はずいぶん救われます。この天使の立ち位置は、そういう場所です。
力づけに来た天使
シャムエルは、いくつかの場面に「名の記されていない天使」として現れたと伝えられてきました。
エデンを追われたアダムとエバのそばに来て、慰めたとされます。ヤコブが夜通し組み合った相手だとする説もあります。そしてもうひとつ、ゲツセマネの園。捕らえられる前の夜、ひとりで祈るイエスのところへ現れて力づけた天使が、この天使だと言われてきました。
どの場面も、助け出してはいません。追放も、格闘も、翌日に起こることも、そのまま起こりました。この天使がしたのは、そばにいたことだけです。それでも、いたことが記録に残りました。
ミカエルは、前に立って風を受ける天使。
シャムエルは、隣に座って一緒に夜を越す天使です。
シャムエルの絵は、やわらかいものばかりです。刃物も天秤もありません。手のなかにあるのは、生きものと、花と、光です。
鳩
手のひらに載せて描かれることの多い鳥です。争いが終わったしるしであり、握りしめれば逃げてしまうもののしるしでもあります。この天使の扱い方が、そこに出ています。
薔薇色の光
この天使の光は、淡い薔薇色から濃い紅までのあいだで見えると伝えられています。赤と白が混ざった色で、情熱と純粋さの中間にあります。
若草色
薔薇色と並んで語られるのが、萌え出たばかりの草の色です。胸のあたりに置くとよいとされる色。傷ついたところが、また伸びはじめるときの色でもあります。
天の窓
この天使が立っている場所です。門番ではなく、窓辺の見張り。誰が困っているかを、そこから見ています。だから探しものが得意なのだと思います。
シャムエルは、失くしたときと、こじれたときの天使です。大きな出来事でなくてかまいません。この天使は、小さな困りごとをいやがりません。
名を三度呼んでから、静かに伝えます。この天使には、格好をつけずに話すほうがよく届きます。情けない言い方でかまいません。
胸が固くなっているときに
人との関係のために
自分を許せないときに
伝えたあとは、手放します。この天使からの返事は、感じとして来ます。理由もなく胸がゆるむ、ふっと涙が出る。それが返事です。
終わりに「ありがとうございました」とひとこと添えると、心がきれいに閉じます。
シャムエルは、探しものの天使として知られています。この評判がこれほど広まったのは、実際に見つかったという話が積み重なってきたからです。
やり方
やり方は決まっています。名を三度呼び、失くしたものの名前を告げます。そして、大事な一言を添えます。
「なくなったものは何もない」と言うのは、この天使のやり方の中心にあたる部分です。失くしたのではなく、いまここに見えていないだけ。そう言い直してから頼みます。
伝えたら、探すのをやめる
ここがいちばん大事なところです。頼んだあと、探し続けてはいけません。別のことを始めてください。お茶を淹れる、洗いものをする、外に出る。何でもかまいません。
見つかるのは、たいてい探すのをやめたあとです。ふと目が向いた場所、急に思い出した場所。もう探した場所からもう一度出てくることもあります。焦っているあいだ、人は同じところしか見ていません。この天使がすることは、視線をずらすことなのだと思います。
探しものは、物とは限らない
この天使が探してくれるものは、手に取れるものだけではありません。
どれを頼むときも、言い方は同じです。ほんとうになくなったものは何もない、と先に言ってから頼んでください。
この天使のしるしは、胸のあたりに来ます。目で見るより、感じるほうが先です。
胸があたたかくなる
何もしていないのに、胸のまんなかがじんわり温かくなる。帯を巻かれたように感じる人もいます。いちばん多いしるしです。
薔薇の香りがする
花がないのに、ふと薔薇の匂いが通る。眠りぎわや、祈っている最中に多い現れ方です。
ハートの形が目につく
葉のかたち、コーヒーの泡、雲、石ころ。その日に限って何度も見かけたなら、そばにいます。
理由なく涙が出る
悲しいわけではないのに涙が落ちる。固まっていたものがゆるんだときの、いちばん分かりやすい合図です。
失くしものが出てくる
頼んでいなかったものまで出てくることがあります。ずっと前に諦めたものが、思いがけない場所から。
思っていた人から連絡が来る
その日たまたま思い出していた相手から、連絡が入る。人と人のあいだをつなぐ天使の、得意な運び方です。
この天使を調べていくと、必ずぶつかることがあります。カマエルという名です。
もとは、同じ名前
カマエル、ケムエル、シェムエル、チャミュエル、カミエル。これらは同じヘブライ語の名が、土地と時代を渡るあいだに変わっていったものです。どれも「神を見る者」を意味します。
ところが、伝わる途中で性質が二つに分かれました。一方は火星に結びつき、断つ力、正しさを通す力の天使になります。もう一方は薔薇色の光をまとい、慰めと愛の天使になりました。同じ名から、剣を持つ姿と、鳩を持つ姿の両方が生まれたことになります。
当サイトでの扱い
当サイトでは、この二つを分けて扱っています。曜日と惑星、生命の樹の伝統に沿って、火曜日・火星・ゲブラーに立つ天使をカマエルとし、愛と慰めと探しものの天使をシャムエルとしています。
分けるのは、便宜のためだけではありません。守ってほしい日と、抱きしめてほしい日は違うからです。呼び分けたほうが、こちらの心もはっきりします。
曜日を持たない天使
曜日を守るのは、ミカエルからカシエルまでの七大天使です。ゲブラーの座はカマエルにありますから、シャムエルは曜日にも生命の樹の座にも属しません。どの曜日でも呼びかけられる天使です。
胸のあたりに、薔薇色を
しつらえは要りません。この天使に近づきたいときは、目を閉じて、胸のまんなかに淡い薔薇色の光が灯るところを思い浮かべます。息を吸うたびに少し広がって、体の外まで届くところまで。それだけで十分です。
蝋燭を使うなら、薄い桃色か白を一本。時間の決まりはありませんが、一日の終わりが向いています。人と会って疲れた日ほど、よく効きます。
シャムエルは、曜日にも生命の樹の座にも属さない天使です。
生命の樹の図をひらく →
シャムエルに寄り添う石と香りです。手元にあるものから、ひとつ選んでみてください。
石
グリーンフローライト
シャムエルにもっとも近いとされる石です。頭の中がうるさい日、人の言葉が刺さって抜けない日に。机の上か、胸ポケットへ。やわらかく欠けやすい石なので、ひとつだけ袋に入れて。
机か胸ポケットにクンツァイト
縦に筋の入った、淡い桃色の石。自分を責めてしまう人のための石です。眠る前に胸の上へ置いて、そのまま数分。強い光に長く当てると色が抜けるので、しまうときは布に包んでください。
眠る前に胸の上へ / 光を避けて保管ロードナイト
桃色の地に黒い筋が走る石。傷ごと抱えて進むための石だとされます。許せない相手がいるとき、握って話しかけてください。丈夫な石なので、持ち歩きに向いています。
許せない相手がいる日にモルガナイト
エメラルドと同じ鉱物の、桃色の石。とても静かに働きます。人を好きになるのがこわくなった時期に、指輪やペンダントとして身につけてください。長く一緒にいるほど馴染む石です。
身につけて、長く一緒にハーブと香り
ローズ
この天使にいちばん近い香りです。悲しみに直接触れる、めずらしい香りでもあります。泣きたいのに泣けない日に、ティッシュへ一滴。※女性ホルモンや子宮に働きかける成分を含むため、妊娠中の方や、女性特有のお悩みをお持ちの方はお控えください。
泣けない日にラベンダー
こわばりをほどく香り。ローズが手に入らないときの、いちばん確実な代わりでもあります。人と会って疲れた日の夜、枕元にひと垂らし。手に入りやすく、失敗の少ない香りです。
人疲れした夜にベルガモット
柑橘のなかで、いちばん心に近いところに届く香りです。気持ちが沈んで動けない朝に。※光毒性があります。肌につけた日は日光を避けましょう。
沈んだ朝にマジョラム
古くから、慰めの草とされてきました。ひとりでいる時間が長すぎる時期、胸が寒々しい夜に。あたためて、静かにする香りです。※眠くなる作用があるので、夜やリラックスタイムに。
寒々しい夜に体調や持病のことでお使いに迷われたら、専門の方にご相談のうえお楽しみください。
「なくなったものは何もない」というのは、なぜですか?
先に言い直しておくためです。失くしたと思っている限り、探し方も失くした人のものになります。いまここに見えていないだけ、と言い換えると、視線の向きが変わります。この天使がしてくれるのは、その視線をずらすことです。
恋愛のことを頼んでもよいですか。
よく届く領分です。ただ、特定の相手の心を変えてくださいとは願わないでください。この天使にできるのは、あなたの胸をゆるめることと、出会うはずの人との道を短くすることです。誰かを動かすことではありません。
失くしたまま、諦めてしまったものはありませんか。
しかし、本当になくなったものは、何もないのです。
名を呼んでみてください。大切なものは、きっと見つかるでしょう。